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前回に引き続き、太陽光線による「光老化」対策のためのサンスクリーン剤の使用についてお話しします。
化粧品の研究を行っている日本香粧品学会は、サンスクリーン剤を「日常的に使用することで、長期間の紫外線暴露によって生じるシワやしみ(光老化)を抑える」ためには「SPF値15以上、PA+以上」が必要であることを2006年に提言しました。
この提言を読むと「SPF20、PA++くらいのサンスクリーン剤を塗っていれば大丈夫なんだ」と思われる方が多いと思います。でもここに落とし穴があります。それは、サンスクリーン剤は十分量塗られていないという事実があるのです。ある調査によると、女性20名に「普段通りにサンスクリーン剤を塗ってください」、と言って塗ってもらうと、その量というか厚さは、乳液で0.7㎎/㎠、ジェルで1.0㎎/㎠、クリームで0.5㎎/㎠、スプレーで0.3㎎/㎠となりました。SPFやPAを測定するときには、実は2㎎/㎠の厚さで塗られています。つまり「普段通り」では、表示してあるSPF、PAの効果を得るための規定量の半分も塗られていないことが分かりました。この量ですと、SPF、PAは実際には半分以下になってしまいます。特にスプレーでの日焼け止め効果はほんのわずかしかないのです。
確かに、「SPF15、PA+」の機能が実際に発揮されれば、日常から塗り続ければ「光老化を防ぐ」ことも可能です。しかし、そのためには「普段通りに」塗っていてはだめで、思っている以上に厚塗り、できれば2度塗りが望ましいということになります。サンスクリーン剤の機能を発揮させて「光老化」を防ぐためには塗り方が大切です。
野村有子